ロイ飯田の怠惰な考察

そのへんの野良おじさんの日記。音楽、自転車、町並み散策&路上観察、トマソン、歯医者看板、AMラジオ、お笑い&コメディ、ビア(特にエール、IPA)などを語ります。

いとはんと番頭はん 第四話

夜も更けた、関西地方のどこかの町。美作屋のある、市内のメイン・ストリートから少し奥まったところにある、喫茶店兼バー兼ライブクラブ。週末は店の奥の狭いステージに楽器が置いてあり、セッションやライブができるようになっている。もともとはジャズとブルーズの店なのだが、最近はカントリー風の音楽やハワイアン、ワールド・ミュージック系のバンドも出ていたりする。
オーナーの陶子ママは、観光客なのだろうか、一見さんと思しき数人の客の相手をしていて、美形の若いバーテンダーは、ジントニックを作っている。
番頭はんと悪友の寿司職人の敏昭、陶芸家の英丸、杜氏の清太郎、大工の寅吉(タイガー)は仕事の後のジャム・セッションの後、飲みながら音楽の話や、それ以外の話もしている。
寅 : いまかかってんの、ジョンスコの新しいやつか?
清 : たぶんそうや思います。歌ならともかく、ギターの音一発で誰か判るってのはすごいことやな。
番 : ところでいきなり話しは変わるが、皆、どういう格好の女にくる? 今風に言うと、萌える?
敏 : 何やねんいきなり。何かあったんか?
番 : いや、この間うちのお嬢に聞かれて、正直に答えたら、「変態!」って言われたんで、ショックでな...
敏 : 何て言うたんや?
番 : 小難しい研究とかをやっている、眼鏡をかけていて白衣を着て、黒のストッキングの下は白いアレで、身持ちが固そうな感じ、と、事細かに答えた。
敏 : それ、眼鏡以外、まんまお前んとこのいとはんやんか。
番 : 俺も後で気付いたんや。白衣も着てへんけどな。
寅 : それは置いといて、番はんがあんまりにも細かく語ったんでびっくりしたっちゅうだけで、いとはんもまんざらでもないんちゃうんか? ボンテージとか、くの一とか言わんでよかったな。
清 : 寅さんは、そういう格好にくるんやな。
寅 : まあ、それは例えの一つってことで、他で言うなよ。
敏 : 俺、嫁以外の女なら誰でもええわ。なんか夢ないなあ... これからは娘にカワイイ格好してもらうわ。
英 : それならいいけど、本当に番頭さんのこと変態だと思ってたらどうする。
清 : でもな英さん、美作屋のいとはんは、一見絵に書いたようなお嬢様やけど、ちょっと変わってはるからな、ええかもしれんで。普通、若い女が食虫植物だの古墳に興味持たんやろ。
清 : あと、変な物の臭い嗅ぎたがるし。
番 : あれ、何か話が変な方向に行っとる。お嬢がいかに変わりもんか、とかはどうでもええねん。
英 : いや、番頭さんもお嬢さんも、一見まじめな堅物人間のように見えるけど、つきあってみるとちぃーとばかり変わってるのがわかる。どっちもどっち、割れ鍋にとじブタ、というわけだ。